トピックス:フォルトトレランス4

トピックス:フォルトトレランス4

ミスは起きると考えて備えること

福島第一原発の事故が人災だと言われていることにはいくつかの原因があります。

福島第一がアメリカの当時の安全思想を反映した設計そのままだったことはすでにお話ししました。

実はこの中には最悪の事態を設定したフォルトトレランスの考えによるバックアップの仕組みがありました。
(フォルトトレランスは事故・故障に対する手法の一つで、バックアップで補う考え方です)
フォルトトレランスはこちらを参考にご覧ください。−> 
信頼性設計を組織に応用する

福島第一にも全電源を喪失した時でも電源を使わないで冷却水を循環して、原子炉を冷やす仕組みが組み込まれていたのです。
これは機能が限られ、最悪の事態(原子炉の溶解)を回避するために時間を稼ぐためのものです。
少しでも時間を稼いで、その間にどれかの電源を回復させ、最悪の事態をさける考え方です。

しかし、「絶対重大事故は起こさない」「放射能漏れは絶対起こさない」考え方はこの事態には至らないようにする考え方です。
せっかく最後の砦としての時間稼ぎの仕組みがあったのに正しくつかわれないまま事故に至ってしまいました。

いったい何がこの結果を招いたのでしょう?

NHKで公開された資料からはこの仕組みはマニュアルにはあるが、ほとんど実施のための訓練が行われていなかったことが見て取れます。
最悪の事態をさけるためにはこの仕組みを使う以前に止めるべきだとの考えがあり、ここに至らないための方策を優先していたのです。
この仕組みの取り扱いが結果的には軽視されていたことになります。

現場でも認識に食い違いが見られました。この仕組みは一度動作を始めたにも係わらず、放射能漏れを恐れていったん手動で停止されました。
そのご数時間して再開されますが、効果的な運用とは言い難い状況だったと思われます。

訓練がなかったことと、現場での作業の困難さと指示系統も乱れたことから効果的な運用は行われなかったことになります。

深刻な事態を絶対起こさない取り組みは評価されるべきですが、想定が不十分だったことになります。

全ての電源を失わない前提で想定されたために取り返しのつかない結果を招くことになりました。

14mの津波は確かに1000年に一度の規模かもしれませんが、想定を誤らなければ防げたはずです。
しかも起こさないことに集中し過ぎたことと、過信があり、未曾有の自然災害がきっかけで起きた人災と言えると思います。

子供の命を守るためには起こしたくない事故は視点を広げるために起きると考えて備える必要があります。

絶対に事故を起こさない考えからでは、最悪の事態の直前で止める方策の範囲が狭められる結果となります。

また事故の影響を少しでも軽減するためには起きると考えて準備し、検証しておくことがとても大切です。

子供をうしなった学校行事中の事故と福島第一原発の事故には明らかな共通点があります。

絶対に事故は起こさないという視点と、そんなことが起きるはずはないという過信です。

大切な命を守るためには事故は起きると考えて備えることが欠かせないと考えています。



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